生活保護とは?基本的な理解
ここでは生活保護制度の概要や、支給額などを説明します。
生活保護制度の概要
生活保護とは、病気やケガなどで働けなくなり、生活が困難になった際にその困窮の度合いに応じて、必要な保護を行なう制度です。
健康で文化的な最低限度の生活を保障すると共に、自立できるように援助することを目的としています。
生活保護は、世帯単位で行なわれるのがポイントです。
世帯全体の収入が、厚生労働大臣の定める衣食住や教育費などの「最低生活費」に満たない場合、差額分が保護費として支給されます。
受給するには、下記の5つの条件をすべて満たしている必要があります。
- 世帯全体の収入が最低生活費を下回っている
- 病気やケガで働けない
- 預貯金や生活に利用されていない土地や家屋、車などの財産を所有していない
- 年金や手当など他の制度で給付を受けられない
- 親族から援助を受けられない
生活保護の受給を検討している方は、5つの条件をすべて満たしているか確認しましょう。
生活保護の支給額と用途
生活保護の受給に最も重要なことは、世帯全体の収入が「最低生活費」を下回っていることです。
この「最低生活費」は、住んでいる地域や家族構成によって変わります。
住んでいる地域で最低生活費が変わるのは、物価や生活水準が地域によって異なるからです。
東京23区は、家賃や物価が高いため、最低生活費が高くなります。
一方、沖縄県などの地方は物価水準が低く、支出が少なく済むので、最低生活費が低くなります。
最低生活費の詳細を知りたい場合は、住んでいる地域を所轄する福祉事務所の生活保護担当に相談してください。
生活保護で受給できるのは、次の8つの扶助で対象となる項目の合計金額です。
- 生活扶助:日常生活に必要な費用
- 住宅扶助:家賃など
- 教育扶助:義務教育に必要な費用
- 医療扶助:医療サービスを受けるための費用
- 介護扶助:介護サービスを受けるための費用
- 出産扶助:出産に必要な費用
- 生業扶助:就労に必要な技術・技能を修得するための費用
- 葬祭扶助:葬祭費用
目的に定められた扶助費を、目的以外に使用してはいけません。
不正受給した場合は、保護費を徴収されるだけでなく、罰則として加算金を徴収される、あるいは刑事告発などされる場合があります。
シェアハウスに住む特典
生活保護受給者がシェアハウスに住む特典は、以下の2点です。
- 経済的負担の軽減
- 人間関係の構築
経済的負担の軽減
生活保護受給者がシェアハウスに住むメリットは、以下の3点で経済的負担が軽減されることです。
- 家賃が通常の賃貸物件に比べて比較的安く抑えられる
- 光熱費やインターネット代金を住人でシェアするため、負担が少なくすむ
- 家具家電が備え付けられているため、初期費用が安くすむ
月々の家賃や光熱費を抑えられるシェアハウスは、生活保護を受けている人にとって、安定した生活を送るのに大きな助けとなるでしょう。
人間関係の構築
シェアハウス生活でのメリットは、他にもあります。
他の入居者と共に生活することで、孤独感を緩和できるのです。
家に帰れば誰かがいる安心感、リビングなどの共有スペースに行けば挨拶や会話ができる環境は、寂しさを感じにくくさせてくれます。
良い人間関係が構築できれば、病気のときや困ったことが起きたときなど助け合えます。
誰かがいる安心感は、安定した生活を送るための精神的な支えになるかもしれません。
シェアハウスに住む際の注意点
シェアハウスの中には、生活保護を受給していると住めない物件があります。
また住めたとしても、確認事項や手続きがありますので、シェアハウスの入居を考える際には、事前に福祉事務所に相談しましょう。
生活保護利益者のルール
シェアハウスに住みながら生活保護を受けるには、「世帯分離」の手続きを行なわなければいけません。
世帯分離とは、同じ住所に住んでいる人たちそれぞれが独立した世帯となっている、つまり生計が分かれていることを指します。
この手続きをすることよって、生活保護を受ける人の受給資格が明確になり、支給額が計算できるようになるのです。
世帯分離の手続きを行なうには、住民票のある市区町村役場で手続きが必要になります。
手続きには時間がかかることがあるので、早めに対応しましょう。
また、生活保護受給中は、毎月収入の状況の申告が必要になりますので、注意してください。
シェアハウスの契約内容
シェアハウスの契約内容は、生活保護の受給に大きく影響を与えます。
家賃が生活保護の適正範囲内か、物件が適しているかなどです。
事前に福祉事務所に相談し、指導を受けることが大切です。
また、契約書の内容をしっかり理解することも重要になります。
シェアハウスは通常の物件と異なり、「定期建物賃貸借契約」が一般的です。
そのため契約期間や更新、解約などについて読み込みましょう。
生活保護受給者向けのシェアハウスの選択
生活保護受給者にとって、シェアハウスは生活費や精神面の安定において、適した住環境です。
しかし、シェアハウスの中には、以下の2点により生活保護法による受給者が住むのに「適した住居」に該当しないとされるケースが多くあります。
- 個室が狭い
- 共有スペースを他の居住者と共有することから、プライバシーの確保が難しい
そのため、シェアハウスに住む前には、福祉事務所の指導を受けて決めるようにしましょう。
また、シェアハウスも住宅セーフティーネットに登録できるようになりました。
住宅セーフティーネットとは、住宅を確保するのが困難な人に対して、その居住を支援する仕組みをいいます。
住宅セーフティーネットに登録しているシェアハウスならば、運営管理会社や大家さんの生活保護者に対する知識や理解を得やすいので、生活保護受給者に適した住環境が手に入るでしょう。
まとめ
月々の家賃などを抑えられるシェアハウスは、生活保護受給者にとって経済的負担が減るので、安定した生活を手に入れる有効策です。
ただしシェアハウスだからといって、どこでも住めるわけではありません。
生活保護受給者が住むのに適した住居かの判断が必要になるので、事前に福祉事務所に相談して指導を受けるようにしましょう。
適切なシェアハウスを選べば、安心・安定の生活を送れるようになりますよ。