• 家具家電付きアパートメントについて

家具家電付きアパートメントの初期費用について解説

最終更新日:2024.09.27

引っ越しの際の負担を少しでも軽減したい…と思う方に人気の家具家電付きアパートメント。 特に「初期費用」については、経済的なメリットが大きいといわれています。 家具家電付きアパートメントとは、具体的にどのような物件なのでしょうか。 メリット・デメリットとともに、不安を抱きやすい「所有権」や「原状回復義務」について紹介します。

目次

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家具家電付きのアパートとはどのような物件なのか

家具家電付きアパートメントとは、一般的な賃貸のお部屋に、あらかじめ家具や家電がセットになっている物件のこと。 お部屋を契約すれば、自動的に家具や家電が付いてくるため、入居後すぐに使用できます。

初めての一人暮らしで何を購入すれば良いのかわからない方や、忙しくて家具や家電を購入する余裕がない方、またすぐに引っ越す予定がある方などに人気です。

具体的にどういった家具・家電が備え付けられているのかは、物件によって異なります。

家電では冷蔵庫や洗濯機、エアコンに照明器具など。 家具の場合、ソファやベッド、ダイニングテーブルといった、大物家具・家電を備えたお部屋が多く見られます。

家具家電付きのアパートとマンスリーマンションとの違い

家具家電付きアパートメントとマンスリーマンションの違いは、契約形態にあります。

家具家電付きアパートメントの多くは、一般の賃貸物件と同様の契約手続きを経て入居することに。 契約時には敷金や礼金、保証人を求められ、年単位で契約を結びます。

マンスリーマンションの場合、契約は月単位で行われます。 敷金や礼金、保証人などは不要で、即入居が可能な物件も少なくありません。

室内にそろえている家具や家電の量や種類も豊富で、ホテル代わりの生活拠点としても非常に便利。 着替えや最低限の身の回りの品だけを用意して、鞄一つでの入居もできるでしょう。

マンスリーマンションは家具家電付きアパートメントと比較して、家賃が高めに設定されています。

半年までの入居であればマンスリーマンションを、半年から2年程度までの入居であれば家具家電付きアパートメントを検討するのがおすすめです。 2年以上の入居を予定しているなら、多少面倒でも最初に自力で家具・家電を購入したほうが、経済的なメリットを実感しやすいでしょう。

家具家電付きアパートのメリット

家具家電付きアパートメントを選ぶメリットは、主に以下の4つです。 ぜひ参考にしてみてください。

初期費用を抑えられる

家具家電付きアパートメントを居住先に選べば、生活に必要な家具や家電を、自分で購入する必要はありません。

一人暮らし用の最低限の機能を備えたものであっても、一式そろえようと思うと、その負担額は10~20万円ほどになります。まるごと節約できるでしょう。

引っ越し費用を抑えられる

新生活のための家具や家電は、新居へ運びこまなくてはいけません。 大型アイテムは専門業者に依頼するのが一般的ですが、その分コストがかかります。

家具家電付きアパートなら、自分で運ばなくても大丈夫です。 その分費用を抑えられます。

家具家電の処理の負担なし

一時的に一人暮らしをしたあと、アパート退去時に使っていた家具や家電の処分で困る方も少なくありません。

家具や家電が備え付けであれば、退去時には置いて出るだけでOKです。 ものを捨てるにもお金がかかる時代だからこそ、うれしいメリットだといえます。

短期間の利用は大変お得

初期費用を低く抑えられる家具家電付きアパートメントは、短期間の入居におすすめです。 賃貸物件にかかるトータルコストを安く抑えられるでしょう。

半年~2年程度までであれば、ぜひ積極的に検討してみてください。

家具付き賃貸物件のデメリット

メリットばかりに目を向けていると、つい見落としてしまいがちなデメリット。 後悔しないためには、許容できるかどうか事前に確認しておく必要があります。

こちらも4つのポイントを紹介します。

デザインや機能が自分好みにできない可能性がある

家具家電付きアパートメントに備え付けの設備を、自分で自由に選ぶことはできません。 デザインや機能に不満を抱いていても、我慢することになるでしょう。

新たなものを購入する場合でも、備品の処分はできません。

家具家電は中古品を使用する

使用する家具や家電は、新品ではなく中古品です。 製造時期によっては、「入居直後なのに壊れてしまった…」という可能性もあるでしょう。

また中古品に対して生理的嫌悪を感じる人も注意してください。

家賃が同条件の場合高い傾向にある

同条件の一般賃貸住宅と比較すると、家具家電付き物件は月々の家賃が高い傾向にあります。

長期入居を予定している場合、初期費用はかかっても一般賃貸を選んだほうが、総コストを安くできる可能性もあるでしょう。

契約面での修理費用負担

契約条件によっては、備え付けの家具や家電の修理費用を自身で負担しなければならない可能性があります。

どのような場合に誰がどう対応するのか、契約前によく確認しておいてください。

家具家電付きのアパートはこんな人におすすめ

メリットもデメリットもある家具家電付きアパートメントだからこそ、自分に向いているのかどうかで悩む方も少なくありません。

一般賃貸物件・家具家電付きアパートメント・マンスリーマンション、それぞれの特徴とおすすめな人をまとめます。



それぞれの条件を比較したうえで、自分に合ったタイプを見極めてみてください。

家具・家電の所有権はどうなる?

家具家電付きアパートメントに入居する際に、注意しなければならないのが「所有権」についてです。

室内に設置された家具や家電が契約上どのような扱いになっているのかによって、入居後の自身の対応が変わってくる可能性も。 契約時には、しっかりとチェックしておきましょう。

家具家電付きアパートメントに備え付けの設備の扱いは、大きく以下の2つに分けられます。



  • 設備
  • 残置物


それぞれの特徴は以下のとおりです。

設備

室内に設置された家具や家電について、契約書に「設備」という記載があれば、所有権や貸主にあります。 部屋の付帯する設備として、一式借りて使用することに。

使用中に故障してしまった場合、管理会社や貸主に連絡すれば対応してもらえるでしょう。 借主側が修理費用を負担する必要はありません。

ただし、該当の家具や家電を故意または不注意で破損してしまった場合は、借主側が修理費用を負担します。

残置物

残置物とは、前の住人がアパートに置いていったもののことです。 貸主側にとって、使用できるものやきれいなものを、わざわざお金をかけて処分するメリットはありません。

照明やエアコンなど、設置したままにしておいて、次の住人が使えるようにするケースが多く見られます。 この場合の所有権は貸主側にはありません。

故障時に連絡しても、貸主が費用を負担して修理対応してくれることはないでしょう。 撤去は可能ですが、その後新たな製品の補充もありません。

必ず気を付けるべき「原状回復義務」

賃貸物件を利用する際に、トラブルになりやすいのが原状回復義務です。 家具家電付きアパートメントにおいても例外ではありません。

原状回復義務とは何か、トラブルを防ぐポイントとともに学んでおきましょう。

原状回復義務とは

賃貸住宅を借りる人は、契約時に原状回復義務を負います。

国土交通省が発表する「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。(※1)

賃貸物件に入居中、部屋や設備、家具の劣化や破損は避けられないでしょう。 物件を借りる人は、経年劣化や通常の使用による損耗の範囲を除き、借りたときの状態に戻して契約を終了する必要があるとしています。

たとえば、居住中に何もしていなくても、壁紙が変色していくのは避けられないもの。

また、自身の不注意で汚してしまうこともあるでしょう。 前者の修繕費用を借主側が支払う必要はありませんが、後者の場合、きれいにするための費用を負担しなければいけません。

家具家電付きアパートメントで家具や家電が「設備」に含まれる場合、これらも当然原状回復義務の対象になります。取り扱いには注意しましょう。

いざこざを回避するために確認すること

家具家電付きアパートメントの原状回復で揉めるのを避けるためには、契約条件についてあらかじめしっかりと確認しておくことが重要です。

家具や家電、部屋の状態で気になるところが見つかったら、入居時に写真や記録を残しておきましょう。 退去時の説明が楽になります。

また室内の家具・家電のうち、どれが自分のものではないのか、忘れないようにしてください。

「古くなったから」と勝手に処分してしまうのは、トラブルの原因に。 たとえ使わなかったとしても、退去するまでしっかりと保管しておいてください。

まとめ

家具家電付きアパートメントには、初期費用の安さを含め、さまざまなメリットがあります。 忙しい方や余裕がない方にもおすすめの物件スタイルですが、契約時には注意するべきポイントも少なくありません。

所有権や原状回復義務など、必要な知識を身に付けたうえで、理想の物件選びをしてみてはいかがでしょうか。

※1 https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf